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5.高尾山季節情報(4月30日更新)

 高尾山の4月は、中旬は晴れた日が連続していましたが、上旬
や中旬は曇りや雨の日が多く、3月の降水量としてはやや少なめ
でした。気温は変動がありましたが、徐々に高くなり、全般的に高
めで推移しました。このような気象条件のもと植物では早春から春
にかけて咲く草や樹の花などが見られました。鳥類については夏
鳥が飛来し、採餌行動などが見られました。哺乳類ではフィールド
サインや姿などが確認されました。両性爬虫類ではカエルの声な
どが聞かれました。昆虫類ではチョウ、ハチ、アブ、カメムシ、トン
ボなどが見られました。
 植物では、ツルカノコソウ、コミヤマスミレ、チゴユリ、ミツバツチ
グリ、ニガナ、ジュウニヒトエ、、ウワミズザクラ、オオウラジロノキ
コバノガマズミ、ミツバウツギ、ヤマツツジなど草や樹の花などが
見られました。
 鳥類では、夏鳥であるイワツバメ、ヤブサメ、クロツグミ、オオル
リ、キビタキなどが確認され、マヒワ、エナガ、シジュウカラ、ヤマ
ガラなどの採餌行動などが見られました。
 哺乳類では、ムササビの食い痕が確認され、リスの姿などが見
られました。
 両性爬虫類では、カジカガエルの声がなど聞かれました。
 昆虫類では、ルリシジミ、ミヤマセセリ、アカタテハ、クマバチ、シ
ロスジヒゲナガハナバチ、アシブトハナアブ、ホソヘリカメムシ、ヒ
メツチハンミョウ、カワトンボなどが見られました。



 ・鳥類(主なもの)

留鳥 ヤマガラ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ、メジロ、イカル、コゲラ、アオゲラ、ウグイス、カケス、セグロセキレイ、キセキレイ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシブトガラス、カルガモ、カワセミ、アオバトなど
冬鳥   ミソサザイ、マヒワ、ウソなど
夏鳥    ヤブサメ、クロツグミ、オオルリ、キビタキ、ツバメ、イワツバメなど
 分布を広げている鳥?  リュウキュウサンショウクイなど
かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 ガビチョウ、ソウシチョウなど

 4月は、鳥たちの繁殖やその準備が確認されましたが、冬鳥、夏
鳥の入れ替わる時期でもありました。
 上旬では、麓では夏鳥であるイワツバメが高山口駅付近で旋回
しているのが見られました。山中ではウソ、マヒワなど冬鳥などが
まだ見られましたが、頂上付近ではマヒワの群れがコナラの冬芽
を盛んにつついているのが見られました。また夏鳥であるヤブサ
メのさえずりなどが聞かれました。
 中旬には、麓の案内川でカワセミ1羽が上流に向かって、川面を
低く飛んでいく姿が見られ、川に接する泥場にイワツバメが次々に
やってきて泥を運んで行くのが見られました。山中ではクロツグミ、
オオルリなどのさえずりが時折聞かれました。またエナガなどが嘴
に芋虫をいくつもくわえながらさらに餌を探しているのが見られまし
たが、他の小鳥に比べ産卵時期の早いエナガが雛に餌を与えてい
るのではないかと推察されました。
 下旬には、山中でキビタキ、クロツグミ、オオルリなど夏鳥のさえ
ずりが度々聞かれるようになりました。また高尾山頂付近では、シ
ジュウカラ、ヤマガラなどがコナラの花に頭を突っ込み、芋虫を素
早くついばんでいるのが見られました。
 


 ・哺乳類(主なもの)

姿、フィールドサインなど ムササビ(食い痕)、リス(姿)など

 ムササビの食い痕が、上旬から下旬に遊歩道などに見られまし
た。上旬にはスギの雄花(花粉の飛散していないもの)を食べた痕
のある枝が稜線近くの遊歩道わきの斜面などに落ちており、ウラジ
ロガシの葉をかじった痕のある小枝が尾根付近にある遊歩道など
にいくつか落ちていました。中旬にはヒノキの雄花の蕾を食べた痕
のある枝が稜線近くの遊歩道などに落ちていました。また下旬には
コナラの雄花序をかじった痕のある小枝が尾根付近にある遊歩道
などに多数落ちていました。
 リスの姿が、下旬に高尾山頂付近などで見られました。リスは夕
方コナラの大きな枯死木?の上部にある又付近にいるのが見られ
ました。又に隠しておいた貯食物あるいは枯れ木に生えるキノコな
どをねらっていたのかもしれません。


・両性爬虫類(主なもの)

両生類など カジカガエル(声、姿)、タゴガエル(幼生)など

 麓の案内川では、カジカガエルの声が多く聞こえるようになっ
てきましたが、時折石の上にいる姿が見られました。
 山中では、タゴガエルの幼生が見られましたが、例年に比べ
数が少ないように思われました。


・昆虫類(主なもの)

地面付近にいたもの ルリシジミ(成虫)、ミヤマセセリ(成虫)、アカタテハ(成虫)、アシブトハナアブ(成虫)、ビロードツリアブ(成虫)、シロスジヒゲナガハナバチ(成虫)、ホソヘリカメムシ(成虫)など
 幹にいたもの  ヒメツチハンミョウ(成虫)など
 枝葉にいたもの  テングチョウ(成虫)など
 空中にいたもの  クマバチ(成虫)など
 水辺近くにいたもの  カワトンボ(成虫)など

 上旬から気温が徐々に上がってきたせいか、下旬には羽虫な
どが多く飛び回り、今年生まれの昆虫などが目立ってきました。
 尾根にあるコナラ林では、シロスジヒゲナガハナバチなどが見
られました。地面近くを多くのシロスジヒゲナガハナバチが飛び
回っており、時折地面に降り、落ち葉の間に潜り込むように入っ
て行きましたが、巣作りにでも励んでいたのでしょうか。
 高尾山頂付近でホソヘリカメムシなどが見られました。ホソヘリ
カメムシは、その名の通り体が細長く、スマートです。地面にとま
ったかと思えば、直ぐに飛去しました。
 流れでは、カワトンボが次々に見られました。羽を細かく羽ばた
き真っ直ぐに飛んで行くのが見られましたが、羽化したばかりでは
ないかと思われました。


・植物(主なもの)

        コミヤマスミレ(白色)、ツルカノコソウ(白色)、ヤブニンジン(白色)、チゴユリ(白色)、ニリンソウ(白色)、マルバスミレ(白色)、ヒトリシズカ(白色)、オオバタネツケバナ(白色)、カントウミヤマカタバミ(白色)、ユリワサビ(白色)、セントウソウ(白色)、ハナネコノメ(白色)、ミツバツチグリ(黄色)、ニガナ(黄色)、ヤブヘビイチゴ(黄色)、ホウチャクソウ(淡緑白色)、センボンヤリ(白色(表)、紫色(裏))、シャガ(淡白紫色)、ヒナスミレ(淡紅紫色)、エイザンスミレ(淡紅紫色)、タチツボスミレ(淡紫色)、ナガバノスミレサイシン(淡紫色)、ジュウニヒトエ(淡紫色)、ムラサキケマン(紅紫色)、オカスミレ(紅紫色)、ヨゴレネコノメ(暗紅色(葯)、紅紫色(花糸、花盤))、ヤマルリソウ(淡青紫色)、ミミガタテンナンショウ(濃紫色または暗紫色)など
樹木    〔高木〕オオウラジロノキ(白色)、ウワミズザクラウ(白色)、カスミザクラ(白色)、コブシ(白色)、ヤマザクラ(淡紅色)、ソメイヨシノ(淡紅色)、エドヒガン(淡紅色)など
〔小高木〕シキミ(黄白色)、キブシ(黄色)、ヤブツバキ(赤色)など
〔低木〕ミツバウツギ(白色)、コバノガマズミ(白色)、ミヤマシキミ(白色)、モミジイチゴ(白色)、ニガイチゴ(白色)、アセビ(白色)、ヤマブキ(黄色)、アブラチャン(淡黄色)、クロモジ(黄緑色)、コクサギ(黄緑色)、ウグイスカグラ(淡紅色)、ヤマツツジ(朱色)、ミツバツツジ(紅紫色)、アオキ(紫褐色)など

〔つる〕ミツバアケビ(濃紫色)など
  〔低木〕アオキ(赤色)など
〔つる〕キヅタ(赤紫褐色、紫黒色)など
5月中に開花の期待される草木 ウワバミソウ、サワハコベ、ハンショウヅル、フタリシズカ、ミヤマナルコユリ、サイハイラン、イナモリソウ、クワガタソウ、オカタツナミソウ、ラショウモンカズラ、セッコクなど
樹木  イヌザクラ(高木)、ウラジロノキ(高木)、ホオノキ(高木)、ゴンズイ(小高木)、マユミ(小高木)、カマツカ(小高木)、ツリバナ(低木)、オオツクバネウツギ(低木)、マルバウツギ(低木)、ガクウツギ(低木)、コゴメウツギ(低木)、オトコヨウゾメ(低木)、ガマズミ(低木)など

 4月は、気温の低かった3月の影響を受けたため、サクラやスミレなど
3月や4月初めには咲き終わる花が4月にも見られました。4月下旬時点
で見られた草や樹の花は下記の通りです。
 谷では、ツルカノコソウ、コミヤマスミレ、マルバスミレなど白い花がまだ
見られました。
 中腹から尾根にかけては、チゴユリ、ヒトリシズカなど白い花が見られ、
ジュウニヒトエノなど淡い紫色の花などがまだ見られました。また日当た
り良い所では、ミツバツチグリ、ニガナなど黄色の花が見られました。
 樹木の花については、高木ではウワミズザクラウが白いブラシのような
花を多数つけているのが時折見られました。低木ではコバノガマズミ、ミ
ツバウツギなどが白い花を咲かせ、ヤマツツジが朱色の花をつけている
のが時折見られました。
 なお5月に期待される草の花は、ウワバミソウ、サワハコベ、ハンショウ
ヅル、フタリシズカ、ミヤマナルコユリ、サイハイラン、イナモリソウ、クワガ
タソウ、オカタツナミソウ、ラショウモンカズラ、セッコクなどです。
 また5月に期待される樹の花は、イヌザクラ(高木)、ウラジロノキ(高木)
、ホオノキ(高木)、ゴンズイ(小高木)、マユミ(小高木)、カマツカ(小高木)
、ツリバナ(低木)、オオツクバネウツギ(低木)、マルバウツギ(低木)、ガ
クウツギ(低木)、コゴメウツギ(低木)、オトコヨウゾメ(低木)、ガマズミ(低
木)などです。





 
 
 
 

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