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(11月30日更新)
高尾山の11月は、晴れたり曇った日の多い一月でした。雨
の日(降水量10mm以上/1日)は無く、降っても10mm未
満/1日の日が5日ほどでした。月雨量は9.0mmで少なめ
でした。気温はかなり変動がありましたが徐々に下がり、少し
ずつ秋が深まってきました。このような気象条件のもと花をつ
けた植物は少なくなりましたが、色鮮やかな実をつけた植物な
どが目立つようになりました。また鳥類では採餌行動が見られ、
冬鳥などが確認されました。哺乳類については姿やフィールド
サインなどが確認されました。
植物では、草花ではツリフネソウ、キッコウハグマ、コウヤボ
ウキ、トネアザミ、シロヨメナ、ゲンノショウコなどが見られまし
た。また色鮮やかな実をつけた樹木ではヤブコウジ、ガマズミ
、コバノガマズミ、ムラサキシキブ、ヤブムラサキ、クサギ、ゴン
ズイ、イイギリ、ウラジロノキ、ツルマサキなどが見られました。
鳥類では、ヒヨドリ、カケス、ヒガラ、シジュウカラなどの採餌
行動が見られ、ウソ、ルリビタキ、ミソサザイなどの冬鳥などが
確認されました。
哺乳類では、アナグマの姿、リスの姿、テンの糞、ウサギの
食痕などが確認されました。
・鳥類(主なもの)
| 留鳥 | ヤマガラ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ、メジロ、コゲラ、イカル、ウグイス、カケス、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシブトガラスなど |
| 冬鳥 | ウソ、ルリビタキ、ミソサザイなど |
| 分布を広げいる鳥? | リュウキュウサンショウクイなど |
| かごぬけしたり、放鳥されたものが野生化した鳥 | ガビチョウ、ソウシチョウなど |
11月は、カケス、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒヨドリなど留
鳥などの採餌行動が見られました。またウソ、ルリビタキ、ミソサザ
イなど冬鳥などが10月に続き新たに確認されました。
カケスが、上旬などに時折確認されました。カケスはどんぐりな
ど堅果をついばむことが知られていますが、ナツグミ、クスノキな
ど液果をついばむことも知られています。上旬に中腹にある遊歩
道を歩いている時、やぶ状になった伐採跡地付近からカケスの大
きな声が聞かれました。やぶの陰でカケスの姿は見えませんでし
たが、そばにはサルナシの実があり、もしかしたらサルナシの実
を狙っていたかもしれません。
ヒガラは、高尾山ではクロマツ、スギ、ヒノキなど針葉樹の種子
をついばんでいるのが冬などに時折見かけられますが、下旬に
ヒガラがモミの枝上で盛んに何かをついばんでいるのが見られ
ました。今年はモミの球果の成り年で多数の種子が林内にある
ことが推察されますが、もしかしたらモミの種子をついばんでい
たかもしれません。
・哺乳類(主なもの)
| 姿、フィールドサインなど | アナグマ(姿)、リス(姿)、テン(糞)、ウサギ(食痕)など |
アナグマの姿が上旬、中旬などで見られました。アナグマは
上旬では高尾山頂近辺、浄心門南西側などで、中旬には薬王
院南方などでいずれも遊歩道のそばで夜見られました。
リスの姿が、中旬に稲荷山コースのピ-ク359m付近で朝見
られました。稜線にある遊歩道の地上を南から北へ移動して
いましたが、食事を済ましてねぐらにでも帰るところだったかも
しれません。
テンの糞が、中旬に3号路の薬王院南方で見られました。糞
の中身はマタタビ科の種子などでした。
ウサギの食痕が、下旬に前の沢で見られました。ミズタマソ
ウの花茎がナイフで斜めに切ったようになっており、ウサギの
食べ痕であると思われました。
・植物(主なもの)
| 草 | 花 | シラネセンキュウ(白色)、サラシナショウマ(白色)、コウヤボウキ(白色)、キッコウハグマ(白色)、リュウノウギク(白色)、ヒヨドリバナ(白色)、オクモミジハグマ(白色)、シロヨメナ(白色)、ノコンギク(白色)、ゲンノショウコ(白色)、アキノキリンソウ(黄色)、ハナタデ(紅色~淡紅色)、イヌタデ(紅色)、ミズヒキ(赤色、白色)、ミゾソバ(紅紫色、白色)、ツリフネソウ(紅紫色)、トネアザミ(紅紫色)、アズマヤマアザミ(紅紫色)、ノコンギク(淡青紫色)など |
| 樹木 | 実 | 〔高木〕イイギリ(赤色)、ウラジロノキ(赤色)、オオモクゲンジ(淡褐色)、ミズキ(赤色、紫黒色)など 〔小高木〕カマツカ(赤色)、クサギ(赤色(がく)、藍色(果皮))、ゴンズイ(赤色(果皮)、黒色(種子))、イヌザンショウ(赤褐色(種子は黒色))など 〔低木〕ミヤマフユイチゴ(赤色)、ヤブコウジ(赤色)、ヤマテリハノイバラ(赤色)、コバノガマズミ(赤色)、ガマズミ(赤色)、ミヤマシキミ(赤色)、ムラサキシキブ(淡紫色)、ヤブムラサキ(淡紫色)など 〔つる〕ツルマサキ(橙赤色)、テイカカズラ(赤褐色)など |
| 紅葉 | 〔高木〕ウワミズザクラ(オレンジ色)、オオモミジ(淡紅色~紅色)、イロハモミジ(紅色)、ヤマボウシ(赤褐色)、イヌブナ(赤褐色)など 〔小高木〕シラキ(黄色)など |
11月は、気温が変動を繰り返しましたが徐々に下がり、下旬には麓でも
カエデ類などが赤く紅葉してきました。11月下旬時点で見られた草花は大
分少なくなりましたが、色鮮やかな樹の実などと共に下記に示します。
谷筋で咲いていた草花については、サラシナショウマなどが白色の花をつ
けていましたが、終了に近いです。またツリフネソウなどが紅紫色の花をま
だつけていました。
中腹から尾根にかけて咲いていた草花については、コウヤボウキ、キッコ
ウハグマ、リュウノウギクなどが白色の花をつけ、トネアザミなどが紅紫色の
花をつけていました。
色鮮やかな樹の実については、高木ではイイギリ、ウラジロノキなどが赤
色の実をつけ、小高木ではカマツカなどが赤色の実をつけ、クサギなどが赤
色のがくに藍色の実をつけていました。また低木ではミヤマフユイチゴ、ヤ
ブコウジ、ミヤマシキミ、ガマズミ、コバノガマズミなどが赤色の実をつけてい
ました。なおムラサキシキブ(低木)、ヤブムラサキ(低木)などが淡紫色の
実をつけていました。
紅葉については、高尾山頂近辺でウワミズザクラ(高木)などがオレンジ色
に紅葉し、オオモミジ(高木)などが淡い紅色から紅色に紅葉していました、
またイヌブナ(高木)などが赤褐色に紅葉していました。